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「宇宙から見たシルクロード」

東海大学情報技術センター所長
坂田俊文
ご紹介いただきました坂田でございます。
私の仕事は人工衛星から地球を観測するという仕事でありまして、毎日毎日地球の周りを周回している人工衛星から送られてくる画像でどう地球が変わっていくかを見ているわけです。
この地球の回っている姿を最初に人間が見たのは1957年です。人工衛星が打ち上げられて以来、地球がどういう姿なのかと、長い間、人類はそれを想像してきたわけですが、ガガーリンが1960年に初めて人類として地球を見るようになって、あまりにも想像とは違った幻想的な地球が目の前にあったということを言っていました。「地球は青かった」という言葉が残っておるわけです。
この青い地球を人工衛星から見ると、実は青い地球というのは全体が青いという意味ではなくて、海の色の青さ、緑の青さもありますけれども、もう一つ変わったところがありまして、砂漠が非常によく見えるのです。その砂漠がどう変わっていくだろうかというのが、我々の興味の中心なのですが、実は砂漠は北半球、南半球に帯状に中緯度帯に広がっております。乾燥している帯があるのです。
そういう状況を見ていくと、ある時ふと気が付いたのですが、どうしてここに昔の遺跡とか、それから古代都市があるのだろうか。これが私の最初の疑問でありました。よく考えてみると、砂漠に人が住めるはずがないわけですから、そこに住んでいたということは、今住んでいないということから見て、これは環境が変わったのだろうというのが最初の着眼点であります。そういうことでしばらくいろいろ調べているうちに、さまざまなことがわかってまいりまして、これを私は宇宙考古学、スペース・アーキオロジーという言葉で提案をいたしまして、調査をすることになりました。
実は昨年の暮れに発表をしたのですが、人工衛星で撮ったシルクロード、多分世界で初めて撮ったものと思います。後でご覧になるとおわかりになりますが、今までにない地球の姿が見えるだろうと思います。ここには約1,000ポイントの調査地域が記されております。樋口先生との長い間の研究の結果、この地図をつくろうということで、5年近くかかって考古学の方々と協力してできあがりました。その1,000のポイントというのは文献から、それから研究者が調査に行ったところを全部調べて緯度、経度を入れて、この地図の上に落としたのです。これをぜひこれから見ていただきたいと思います。
私の仕事は言葉でというより絵でお見せすることなので、用意してきました映像で時間の許す限りお話しさせていただきます。

 

(以下 スライドによる説明部分 一部省略)

 

人工衛星から地球を見ると、意外にきれいな姿が見えるというところがありますが、実は上から見ていると雲がたくさんあってよく見えないところがあるのです。赤道の上空のところは雲が見えます。それから極地方にも雲があります。これは太陽が強く当たりますと、雲が蒸発して赤道の上空はたくさん雲ができます。それが地球の回転で移動しますと、極地方に移ります。そうすると真ん中が乾燥してしまうということであります。これがその雲の絵です。
今度はコンピュータで雲を取ってしまいます。
これは雲を取った姿で、実にのっぺらぼうとした地球が現れるわけです。これが地球の姿であります。そうすると、ここにありますように砂漠が見えてくるわけです。これは緑のないところです。

 

 

 

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